捨てる勇気が鮮度の秘訣
どうも、海渡です。
誓いのコインの稽古もいよいよ大詰め。
開幕まで5日を切りました。
今日は年内最後のoff。明日から年明け4日までは一気に突っ走っていきます。
このくらいの時期になると、俳優はある程度演技のプランニングが固まり、決まった道筋でいかにそのシーンの意図を伝えるかを考え始めます。
しかし、それはあくまでも毎回新鮮にその瞬間を生きることが出来るかが前提にないと、ただの「演じている人」になりがちです。
多分、ほとんどの人がそうです。
どうしても作品を壊したくない、共演者に迷惑かけたくない、など…色々な理由で保守的になります。恐らく自分が安全に演じられる状態で演技したいから…が一番の理由ですが。
決まった位置で、決まった動作で、決まった声色で…心が何も動いていなくても、お人形のように演技してしまう。
それでは人の心は打たれません。
本当にそこに、当時の空気を纏った人が存在していて、その瞬間その人にとっての事件、出来事にぶち当たって、本当に一喜一憂している姿をお客さんは見たいのです。
その人(役)が安全な状態でないからドラマになる。
そのためには、たくさん沢山用意した演じる人(役)のプロフィールだの、台本上のやりとりだの、段取りだのを「捨てる」くらいのつもりで、舞台上で存在する覚悟が必要なんです。
これは、経験値の少ない方にとっては本当に怖い事ですが、出来るようになれば舞台上でのコミュニケーションが非常に楽しく、エキサイティングなものになります。
言い方を変えると「自分自身を錯覚させる」ということです。
沢山積み重ねてきたものは身体の中に入っているから、何回でも同じ動線、段取りは繰り返せるようになっている。
だから、セリフや段取りの事は舞台上では考えず、その人として生きていて、相手とお客さんとのコミュニケーションに集中し続けることにエネルギーを費やす。
わたしもまだまだ「宇高海渡」が本番中に出てきそうになり、「こらこら、今しばらく辛抱しろ」となることもままあります。
しかし、この感覚を段々使えるようにはなってきました。
これからのステージでは、より精度を上げて、お客さんにしっかりドラマと人物の魅力を伝えたいと思います。