Diversion

俳優13年⇒学童の先生2年⇒現在飲食業サラリーマン。珈琲豆焙煎人でもある宇高海渡のユルかったり熱かったりするblogです。記事の内容は随時添削する事が多いので、あなたが訪れた2.3日後には少しずつ変化しているかもしれません。ご了承下さい

現実(リアル)と虚構を蛇行する

 

どうも、海渡です。先日井上パイセンが振舞ってくれたpizzaをがぶり!な一枚!ご馳走さまでした🎵

 

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瀬戸内工進曲、40回公演を終え、残るは200回くらい。

 

ロングラン公演を4作品も経験すると、発見する事の内容の質が上がってきたなあ〜と思います。

 

例えば、お客様の空気を常に感じ取りながら相手役とコミュニケートする事。

 

これ、意識する・しないで全然違うんです。

 

でも、意識するとなんだか自分が宙ぶらりんな感じがして、不安感だったり緊張が上がる事も多くありました(もちろん今もだけど)。決まった音や動作をやろうとすると上手くいかない事が多いので、捨てる覚悟というか、それでもやれる自信を持てる状態に持ってく必要がありますし。

 

今は、与えられた役の人物として生きながら、絶妙なバランスでお客様への意識を「置きながら」、物語を進める事に慣れてきました。

ピーターブルック氏の言葉を借りるならば、「常に綱渡り状態でその瞬間に生きる」こと。

 

そうすると何が起こるかというと、お客様と自分の意識が徐々に繋がり始めるのを察知できます。いわゆる同調ですが、それがあることによって、笑って頂きたい所で笑って貰えたり、シリアスなシーンでも集中して見届けて頂きやすくなります。

 

あとは、リアルでなく、リアリティを追求する事。

 

これもまたいつも通りの音、立ち居振る舞いでなく、その日の生き様でありつつ。最低限の決めたルートを通ること。

 

お客様の心理として、嘘が前提のものを見ているのだけど、出来る限りリアルなものを見たいという欲求がある。

 

しかしながら、「嘘」の部分を見たいという欲求も同時に存在していて、その嘘(余白

とも言えるかな?)に可笑しさや物語・人物の奥行きを感じられる事が多いのです。

 

よって、リアルなのだけど、そうでないもの。脈絡がないようで、あるもの。

そういうものにお客様は心の共振を感じるのだと分かったのです。

言葉や動作を通して、絶妙なバランスで現実と虚構を蛇行する事によって、お客様の集中力を引っ張っていく、期待を良い意味で裏切る事が出来るのです。

 

でも、じゃあそれどうやってやるのよ?と言われたら、「センスと経験値」ですとしか言えない(笑)もちろん私も分かっちゃいるけど完璧に毎回出来るわけではないし。

 

レーニングにも色々なものがありますが、相手役やお客様との同調力を上げる方法として、インプロはとても有効な手段だと思っています。(↓仲間とのインプロセッションの様子)

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後は、ムーブメントも。

フィジカルを鍛えながら、様々な質を持った存在として空間に影響を与える、受け取る事がこんなにも分かりやすい、どれくらい出来てるかできてないか、が明確にわかる方法はほかに無いと思います。

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お客様と同調するにはそうでない状態よりも遥かに体力が必要なので、スタミナアップも!

 

さて、なんでこんなに演劇・演技論を書くのかというと。

 

私自身のチェック、目標や次への課題設定の為のメモという意味合いもありますが、こういった、舞台俳優の裏側に、舞台上での心理や動機に興味ある方や、これから俳優になりたい、もっと上達したいと考えている方の参考になればと思っているから。よきディヴァージョン(回り道)になって欲しいという言葉には、そういう意味も込められています。

 

では、また。