劇場俳優、という生活
ドゥモ、海渡です。
お客様と記念撮影。ロビーでのお見送りの時間は、お客様の声を、帰り際の様子をダイレクトに受け取れる、貴重な時間です。
しばらくインフルエンザの警報発令により自粛せざるを得ない状況で、本当に残念です。その分、本番のエネルギーをより洗練させ、お客様の満足を得られる舞台づくりに邁進したいと思います。
劇場で、半年、あるいは一年(今回は3ヶ月ですが)、一つの作品と向き合うということ。
これはとても凄い体験だなあと改めて感じます。
日を追うごとに、自分が役に近づけるヒントを得て、稽古では得られなかったシンクロ感を得られたり、それが客席に伝播していくのを感じられたりするので。とても俳優にとってはやり甲斐のある日々です。これが俳優としての醍醐味だなと。
現実的な面で言えば、演技をしてお金がいただける、バイトをしなくても贅沢しなければ生きていける環境って、実は国内には他にはほとんど無いです。
生きて行けるとしたら、俳優自身で他に副業をしていて、そちらの収入が頼りになっている場合が多いかも。あるいはパトロンの方がいたり…(笑)
純粋に、演劇の仕事だけの収入というのはとても少ないと言わざるを得ないのが現実です。
坊っちゃん劇場はステージ給で、一月の公演数に応じて給料が変わるものの、安定した給料が頂けます。
公演終了後の時間は、イベントのお仕事(主に営業)が無い限りはフリーなので、自分のやりたい事に時間を使えます。
まさに、職業俳優としての生活を送ることが出来ます。
しかし、一つの作品に出演し続ける為の「根気」だったり、「楽しむ為の技術」を知らない人にとっては、苦痛な時間になりそうな環境でもありますね(笑)
どうしても、人間は楽な方に流れる生き物なので、自分を律することが出来ないこともあります。
具体的には、自分の欲求に従って、使い慣れている方法で喋る、動く、声色を使う…考える。というかもう、生活全般です(笑)
日々の本番に向き合うに当たって、それをどうやって「防ぎ、律する」事が出来るようになれるか。それが本当に素敵な俳優になる道に繋がると私は信じています。
それが出来なければ俳優には向いてないとさえ思います。
そういう日々の積み重ねが、必ず本番には出ます。
楽しいこと、は楽をすることとはイコールでは無いんですよね。
楽しいことがしたければ、時には辛い体験、苦しい事を乗り越えて行かなければ、その先には到達出来ないんです。
俳優とは、ほぼオリンピックを目指すアスリートに近い精神力、体力を必要とする職業ですから。
それが、この職業の面白さでもあります。
そういったことを体現出来るように、これからも私は自分に厳しく、他人には出来るだけ優しくいようと思います(笑)