Diversion

俳優13年⇒学童の先生2年⇒現在飲食業サラリーマン。珈琲豆焙煎人でもある宇高海渡のユルかったり熱かったりするblogです。記事の内容は随時添削する事が多いので、あなたが訪れた2.3日後には少しずつ変化しているかもしれません。ご了承下さい

【パラサイト 半地下の家族をレイトショーで観た話】

 

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ネタバレありでしかも長文です。あまりにも思い出深い出来事だったので、お時間あれば読んでみて下さい。

 

久しぶりに映画館に行ってきたけれど、強烈な出会いを体験した。

 

その劇場だけではないかもしれないが、レイトショーは客層もばらつきがあり、色々な人がやってくる。

だが今回は、特殊にも程があった。

 

座席についてさあ観るぞーと予告を待っていると、私から見て右手前方(2列くらい下)の席に60代前半くらいのおっつぁん👴🏻がドカッと腰掛けた。

 

「💁🏻‍♂️座り方雑やな。」とは思ったけど、気にしなかった。

すると今度は

 

👴🏻「ハァァン!ンガァン!」

 

と、ノドのどこに何が詰まっているのか分からない咳払いを、絶妙な間隔でしていた。この時点でまだ、本編はスタートしていない。

 

私はこの時、ちょっぴり嫌な予感がしていた。

 

本編が始まる。地下暮らしをする家族が富裕層の家族にうまく取り入る導入シーン。

 

🙎🏻‍♂️「へーっなるほどこういう手口ね、なんか万引き家族のパクリっぽいなあ」
「カメラアングル洗練されてて面白いなあ」
なんて思いながら観ていると。

 

 

👴🏻「ハーッン…ンなわけあるかい馬鹿があ。」

 

 

おっつぁんが映画に対して突っ込みを入れ始めた。
しかも小声ではなく、周りの観客に確実に聞こえるボリュームで。

🤷🏻‍♂️(うわ出たよーー‼️心の声がだだ漏れダメ出し爺さんーー‼️)

そういう人とは出会った事ないわけではないが、映画館では初めて。


耳障り。極めて不快。気を取り直して映画に集中しようと続きを観ていると

 

 

👴🏻「そーっんな奴おらんわ。ンナァーン…」

 

 

と、これまた絶妙な間隔でダメ出しをするのである。

 

🤦🏻(どうしよう。全然集中出来ない。かといって「うるさいですよ」なんて注意しようもんなら今度はこっちに矛先が変わるだけで周囲の人にも迷惑が掛かる未来が見える…もう寝てしまおうか。お金と時間もったいないなぁ…)

などと思ったが、その時リスペクトしてる方からのアドバイスが頭に浮かぶ。

 

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「和を持って尊し!!」

 

私は作戦を変えた。

💁🏻‍♂️「ヨシ、こうなりゃおっつぁんのダメ出し丸ごと楽しんじゃえ!」

 

それからはなかなか楽しい時間となった。

 

👴🏻「フフフハァン…ヘッヘッへ…」

 

💁🏻‍♂️「(いやいや今のところそんなに面白い?笑い方癖強いな。てか人が刺されたりボコボコにされるシーンですけど?サイコパスですか?)」

 

心の中でおっつぁんの反応にツッコミを入れまくる私。

 

👴🏻「だからそんな事やってもしゃーないやろうが…ンなン…なんぞぉそれ…」

 

💁🏻‍♂️「(いやそれ確かにそう取れるかもしれないけど声に出さなくて良いよね?リアルタイムのあなたの感想要らないよ?てかンなンって何?猫?)」

 

と、半ば呆れながらこのおっつぁん👴🏻をチラ見観察していた。意外と観る姿勢(背筋)はちゃんとしている。そして黙っている時の眼差しは真剣だ。

つまりおっつぁん👴🏻はあくまでも映画を貶しまくる為だけにこの映画を観ているのではない、という事はわかってきた。これがおっつぁんにとっての映画の楽しみ方なのだ。めちゃくちゃ迷惑だけど。家で観て。

 

クライマックスシーンで、観客全員がシーンと静かに観ている時に

👴🏻「フヒャヒャ‼️ヒャア❗️あーあ…」

と、面白いのか面白くないのかよく分からない笑い方をしていた時は、呆れを通り越して何だか面白くなってしまった。この状況が演劇だなあ、なんて。この時点で私の映画への没入度はゼロに等しかった。

 

極めつけは、エピローグからエンドロールが始まるまでの間。

 

👴🏻「しょーもない…なんやこの話…しょうもないのうホンマに。」

と、最早ただ批判したいだけのアンチの人のようなコメントをしていた。やっぱり貶したいだけだったのかもしれん。

 

おっつぁんに呆れたのか作品がつまらなかったからなのか、どちらもなのか。観客はエンドロールの終わりを待たずして席を後にする人ばかりであった。

 

おっつぁんは独りで
👴🏻「しょうもない…しょーもな」とボヤきながらエンドロールの終わりを待っていた。

 

劇場を離れながら私は今後、その劇場のレイトショーで映画を観るのはもう控えようかなと思いました。

ただ、人生でそんなに多くは体験出来ないであろうという状況は、俳優にとっては芸の肥やしなので。
おっつぁんに心の中で手作りの #パルムドール賞 を渡しました。

 

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#パラサイト