俳優としての【知性】考
どぅも、海渡です。
「もっと知りたい!」「なんだその思考?」と感じた人物の著書や文献は、出来る限り買う。触れる。その繰り返し。
最近、人間としても、仕事人としても全幅の信頼を置いている方と話している時、ふと
「(海渡さんの)その頭の良さってどこから来てるんですか?」
と聞かれたのが、とっても嬉しかったけど。
正直自分では頭が良いとこれっぽっちも思っていなければ、馬鹿だから努力しなければならないという、焦燥みたいなものさえもない。
つまり、よく分からない。
ただ一つ言えることは、俳優として様々な戯曲を読む、演じる事を通して、多種多様な人物として物事を捉える、実感する、リアクションする、「ドラマティックな体験を何度も繰り返す」という体験を繰り返してきたが故に、実生活で起きるドラマに対しても、色々な角度で「捉え、反応せざるを得ない」状態になること。
イギリス王家という、恵まれた出自を持ちながらも、世の中や自身の人生を憂う子息として。
常に下克上を夢見る召使いとして。
自分の運命を呪いながら生きている奴隷として。
ロシア戦争の最中に、捕虜として日本で生きているロシア兵として。
戦いに生きる獣の様な戦士、兵士として。
自分の性質(解離性同一障害)について、自殺したくなるほど悩んでいる男として。
自身の正義を貫く義賊(泥棒)として。
アラジンとして。
孫悟空として。
自然にただ身を任せる、水・風として。
或いは…etc。
つまりは、【本に記された筋書き、事実】という知識を【自身の身体を使って体現・実践する】事で、俳優として、1人の人間として生きるための知恵に変えてきたから。
ただし、あくまでも自分の触れたものや興味のあるものにしか深く踏み込めてない事で、偏りの大きい【知恵】でもあると。
また、俳優である以前に、1人の人間として昔から備え、育て続けてきた「知的好奇心の芽を育て、花開くまで水やりを続ける根気を持つ」ということ。
それを許してくれる親に育ててもらった事。
それが、他者から見れば、「頭の良さ」に感じられるのかもしれない。
それが、最も具体的な言語化された答えだろうか。
俳優としての知性というのは、それこそとても奥深いもので、非常に感覚的でもあり、理知的でもある。
本を通して作家が表現したいものを読み取る力。
役の人物に与えられた役割や性質を自分の身体に落とし込み、自身の身体で表現する力。
基本的にモノローグのみの戯曲でない限り、2人以上の登場人物が出てくるので、相手役、同じ空間に存在する者との、ドラマを実現、再現する為のチームワーク。
演出をつける上で、0⇨1を生み出すアイディア、閃きなど。
想像力、コミュニケーション能力、メタ認知能力、体現するのに必要な身体能力(柔軟性、筋肉の発達など)。
それに加え、趣味ではなく仕事としてやるならば、プロとして活動するならば。
タイムリミットを意識し、アマチュアであれば3時間掛かる表現したいものの答えを導くプロセスを1時間で実現する能力を身につける。など。
俳優に求められることは多岐に渡る。
今の私に上に挙げたことが全て備わっているなどと、僭越な事は言えないけれど、表現者としての高みを目指すならば。
「自分の器を最大限に拡げる」覚悟は持っていたいと思う。
では、また。